法律相談例


家庭裁判所の手続きについて知りたい

 私は数年前に家庭裁判所で夫婦の問題について調停手続をしましたが、そのときは弁護士には依頼せずに自分で対応しました。最近になって家庭裁判所での手続に関する新しい法律ができたと聞きました。今後も夫婦の問題や相続の問題などで家庭裁判所で手続をする可能性があります。以前の手続と違うところをいくつか教えてください。

家庭裁判所の手続きについて知りたい

 家庭裁判所は家族や相続に関する事件などを取り扱っており、事件の性質上、弁護士に依頼せずに自分で手続をされる方も少なくありませんので、自分で手続をしようと考えておられる方にとって新しい法律は気になるところかもしれません。お尋ねの新しい法律は家事事件手続法で、平成25年1月1日から施行されています。それまでは昭和23年1月1日施行の家事審判法のもとで手続が行われてきましたが、施行から半世紀以上が経過し、家族のあり方や生活のスタイルが多様化したことや、個々人の権利意識が高まったことなどを踏まえ、基本的な手続事項を整備し、手続保障をより充実させつつ手続をより利用しやすいものにするために、家事事件手続法が制定されました。
 当事者の手続保障をより充実させた具体例としては、申立書の写しの送付や事件記録の閲覧・謄写があります。
 相手方への申立書の写しの送付については、家事審判法には規定がなかったのですが、家事事件手続法では原則として相手方に申立書の写しを送付しなければならないこととなりました。以前は相手方を非難するような内容を申立書に記載したとしても、申立書は裁判所限りで止まるのが通例で、相手方に記載内容がダイレクトに伝わることはほとんどありませんでしたが、これからは相手方に記載内容がダイレクトに伝わることを意識しながら申立書を作成する必要があります。裁判所が作成した定型の申立書式がありますので、これを利用されるとよいでしょう。
 事件記録の閲覧・謄写については、家事審判法では許可されるか否かは裁判所の裁量に委ねられていました。家事事件手続法においては、調停手続では家事審判法と同様に裁判所の裁量に委ねられますが、審判手続では当事者からの請求は原則として許可しなければならないこととなりました。そのため、遺産分割の事件などでは、調停手続から審判手続に移行し、調停手続の記録について事実の調査が行われて審判手続の記録となった場合には、原則として閲覧や謄写が許可されることになるので、調停手続の段階から閲覧や謄写がなされることも想定して提出資料を準備する必要があります。もっとも、東京家庭裁判所においては、以前から他方当事者に審判手続における提出資料の写しを交付する運用となっていましたので、閲覧や謄写を許可する場面はそれほど多くはないと思われます。
 相手方にこちらの言い分や提出資料を知られてしまい不都合と思われるかもしれませんが、適時に反論やそれに伴う資料提出の機会を与えた方が紛争の早期解決につながることになります。
 手続をより利用しやすくした具体例としては、電話会議・テレビ会議システムの導入があります。家事審判法には規定がなかったのですが、家事事件手続法では、当事者が遠隔地に居住しているとき等には、当事者の意見を聴いたうえで電話会議またはテレビ会議を利用して手続を行うことが可能となりました。
 これら以外にも家事審判法での手続とは異なる点があります。具体的に申立てをされるときや申し立てられたときに個別の事案に応じてご説明いたしますので、お気軽にご相談いただければと思います。