遺言書を作成する際の注意点について知りたい

 私は、最近妻を亡くし、娘と息子の二人の子がいます。長年コツコツ働いて蓄えたものと、先祖代々受け継いできた土地を併せ、それなりの資産があるのですが、とっくに「後期高齢者」の仲間入りをし、自分が死んだ後のことも考えなければならないと思っています。娘は、長年入院していた妻の面倒を見てくれましたし、父親である私を気にかけてよくしてくれていますが、息子は、20年ほど前に喧嘩をして以来、実家に寄り付きもしません。

 私の死後、財産をできるだけ娘に渡したいと思います。しかし、それによって姉弟の間でトラブルになることはぜひとも避けたいと考えています。遺言書を作成するということは分かっていますが、どのようなことに気を付ければいいでしょうか。

遺言書を作成する際の注意点について知りたい

 まず、公正証書遺言を作成することをお勧めいたします。これとは異なり、自筆証書遺言と呼ばれる遺言の作成方法もあり、自分で全文と日付を書いて署名押印すればよいのですが、後に、本当にあなたがその日付に書いたのかという点が問題となり、トラブルになる可能性が否定できません。それに比べ、公正証書遺言は、証明文書を作成する権限のある公証人が、あなたの遺言の内容を公証してくれますから、上記のようなトラブルは発生しません。費用は、財産の価格や内容によって異なるのですが、例えば1億円の遺産の場合、10万円弱というのが実際です。安くはありませんが、安心を買うためのコストと考えていただければよいと思います。

 遺言の存在に争いがなくても発生し得るトラブルの中心は、遺留分を巡るものです。遺留分とは、例えばあなたが全財産を娘さんに譲るという遺言をした場合であっても、息子さんが、本来の相続分の二分の一である四分の一の限度で、自分に遺産を渡すように請求することができる権利です。遺留分を無視した遺言を行うことも自由ですが、その場合には、息子さんから娘さんに「遺留分減殺請求」という権利主張がなされ、紛争になる可能性があります。それを避けるために、どのような遺言にすればよいか、土地などの資産の評価など様々な点を考慮して検討する必要があります。判断に迷ったら、弁護士に相談することをお勧めします。

 また、それ以外によくあるトラブルとして、特別受益や寄与分を巡る争いがあります。特別受益とは、被相続人の生前に贈与を受けた相続人とそうではない相続人がいる場合に、両者の公平を図る制度です。寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加について「特別な寄与」をした相続人がいる場合に、その貢献を金銭的に評価し、やはり両者の公平を図る制度です。それらの存在が認められると、上記の遺留分の計算にも影響してきます。ですから、それらがあるかどうか(あるいは、あると主張されるかどうか)によって、どのような遺言を作成すべきかが異なってくることになります。これらの評価や計算は、かなり複雑ですから、関連しそうな事実をすべて弁護士に説明していただき、確認されるのがよいでしょう。

 せっかく財産を残しても、それを巡ってお子さんたちが争うことになるのは、ぜひとも避けたいところです。それを予防してあげるのが、親の最後の責任といってもよいと思います。そのためにどうすればよいか、いつでもお気軽にご相談ください。